ご無沙汰をしてしまいました

夏になると
父と過ごした最後の夏を思います

余りにも呆気なく夏が終わった五年前の今日でした

つい先日父が夢で会いに来てくれました

まるでいつもみたいに家に居て
さっきもいたみたいに

なのに

「生きてたの!!良かった」

などと言って

母も元気で
当たり前の日の
のどかな空気があって
終わりと始まりのぼんやりした夢
目が覚めても暫くは境目がわからなくなりました

いま私は 父 米倉斉加年と母テルミが暮らした実家に暮らしています

昨年2月に母が倒れました
脳梗塞でした

暫く病院とリハビリ病院に入院して
母が頂いたのは「要介護 5」というランク付けでした

一人で生活ができなくなった母と一緒に暮らし始めてもう直ぐで一年になります
こんなに添うように母と一緒に時を過ごすのは
私が母のお腹の中に居た頃以来です

母は人に何かをしてあげる事が好きで
人に何かをしてもらう事が苦手でしたが
すっかり私に身を任せ
夢の中と現実の境目で
ホワホワと過ごしています

一緒に暮らし始めた頃は
母が夢の境目でホワホワな所に居るので
現実の世界に居る筈の私は
母の夢の中に入り込んで
道を探してウロウロとし
道しるべを見つけたと思い込んで母に示して
逆に母を迷わせてしまったり
私自身も更に何処に居るのか分からなくなってしまっていました

そのうち
父と母の人生までも考え始め
まるで宇宙の事を分かろうととするみたいに
グルグル回ってしまい
母の夢の中の迷子になってしまっていました

直ぐそこには巨大な壁に向かって現実の世界を
ズンズン進むムスコも居て
おーいコッチだよーとダンナさんの声も聞こえている
友だちはsnsの世界で会っている筈なのに
油断をすると母の夢の中と皆んなの居る現実の世界との狭間が分からなくなってしまっていました

それでも春になる頃には
母は夢の中と現実の狭間を器用にホワホワと優雅に行き来しているのです

きっと
父といつも一緒に居るに違いないと
気がつきました

母の夢の中も
父と母の人生も
皆んなの居る現実の世界も
果てしないけれど
私も私の現実の居場所と母の夢の中の狭間を行き来する橋を見つけようと思い始め
母の夢を描こうと思いました

線と線を一本一本つないでみると
線はどうやら母の夢の中と私の現実の世界との
架け橋になってくれています

父と離れて今日で五年
母と一緒に暮らしてもう直ぐ一年
なんとなくホワホワと
バタバタと暮らしております!

2019年8月26日

加乃