いい芝居とは
 
観る人、創る人の生きる喜び、哀しみ、怒り、楽しみが-
 
それぞれの人生がそれぞれの心の中に燃える-

これが現実で生きる力となる

そんな舞台を持って旅に出る-

みなさんとお眼にかかれる日を心より

願っております


米倉斉加年







海流座 これまでの公演作品

海流座 不思議な卵     海流座 不思議な卵

第5回公演
「不思議な卵」
トルストイ
イワンのばか より
脚本・テルミ / 演出・米倉斉加年

原作である[鶏の卵ほどの穀物]は1886年に書かれたトルストイの作品です
社会が近代化するにつれて物質文明が自然を破壊し、人間の生活を大きく変えていきます
そんな文明の方向にたいしてトルストは警鐘を鳴らしているのです
この作品は100年前に書かれたのですが、その警鐘は21世紀の今日わたしたちに鋭くせまってきます

イワンは働く少年です
ある日そんなイワンの手助けをしようと、アンナとアントンとペーチャは、イワンと一緒に山にキノコ狩りに出かけます
そのときイワンは谷間の穴で不思議な卵を見つけます
アンナはその卵を商人である父親にご領主さまに高く売ってくれるようにお願いします
ところがお城ではこれが何であるか大騒動になり、国一番の科学者たちが呼ばれます


2011年8月・紀伊國屋サザンシアター







海流座 彦六大いに笑う     海流座 彦六大いに笑う

第4回公演
「彦六大いに笑う」
三好十郎 作
米倉斉加年 演出

-新宿昭和裏物語-
昭和初期の新宿を舞台とした話
デパート建設のために立ち退きを強いられている一廓
すでにほとんどの店は、わずかな金を掴まされ立ち退かされている
そこに未だ残っているのは二階のビリヤード場の旭亭と階下の酒場
ビリヤード場の主人(彦六)は三多摩自由党の生き残りで、この一廓の代表である
夜更けになると、シンとするし、まるで廃墟のやうに、やりきれない光景になってしまふ
ところが今夜は、その二階の旭亭がひどく賑やかだ

2010年7月・紀伊國屋ホール








海流座 ワーニャおじさん     海流座 ワーニャおじさん

第3回公演
「ワ-ニャおじさん」
チェーホフ 作
小野理子 訳
米倉斉加年 演出

-四幕の田園生活劇-

2009年7月・川崎市アートセンター・アルテリオ小劇場







海流座 海に生きる     海流座 海に生きる

第2回公演
「海に生きる」
作 テルミ / 演出 米倉斉加年

たとえそれがふる里のため
いとしき人たちのためであったとしても
若者が死んで未来があろうか
残されし者は-
江戸時代に生きた浦人たちが
生き続けるために一生懸命戦う姿を描く

2008年8月・紀伊國屋サザンシアター




海流座 父帰る     海流座 二十二夜待ち

[二十二夜待ち]
木下順二 作
米倉斉加年 演出

人をだまさず、金をごまかさず、正直なのを、世間は馬鹿にする、
心の美しいことは他人に劣ることなのか
そして、貧しさを、落ちこぼれを負け組みとして排除する
(ならず者)はその中から生まれた
差別したやましさから村人たちは恐怖心を持ち、反社会人として村八分にする
(藤六)と(ならず者)は表裏一体なのです
これは架空の民話劇ではない
現実の社会の市民を描いた現代劇なのです

「父帰る」
菊池寛 作
米倉斉加年 演出

近代日本劇の草分けの作品です
父親の宗太郎はサーカスの興行師として家の金を持ち出して出奔します
そして二十年がたちました
三人の子をかかえた妻は一時は死のうとも考えましたが
長男は公務員に 次男は教員に そして末娘には結婚の話がきています
そこへ落はくした父が帰ってきます
近代日本の始まりです
父の子供時代は江戸時代でした
次男の勤務する学校の校長と、この父親は子供の頃
お百姓組でともに槍の稽古をしていたそうです
家庭の成立、個人の自我の確立の芽がこの作品に見えます
百年前のことが今のこととして考えられます
現代の家庭の問題と、父親の存在の問題がここにはあります

2007年7月・俳優座劇場